世界紀行

  • 世界紀行

9.オランダの花事業

-デホイヤーインターナショナル
早速、アルスメール花市場での仕事の始まりです。今回、研修させて頂くデホイヤーインターナショナルは、世界中に切花を輸出している会社です。世界中の切花の輸入業者からの買い注文に基づき、バイヤー(オークションで花を買う人)が花を競り落としていきり世界中に飛んでいきます。見事にシステム化され、オークションの行われる日には、14,000,000本の切花がさばかれていきます。なぜ、こんなに見事なまでに早くスムーズに花が動いていくのかを、追って見ました。

-バイヤーの仕事
最低購入が3バケツの600本をボタン操作ひとつのオークションで買うバイヤーの人たちは、大変な事前準備をやっていました。それぞれのバイヤーの人たちは、担当の花があります。たとえばチューリップを担当しているMr.ジェフは、事前にすべてのチューリップ農家を回り、球根の段階から育て方をチェックして、一か月後にオークションに上るときの品質を管理していました。オークションにかける為のチューリップは、農家で刈り取られた時点で、オークション用の水の入ったバケツに入れられ、カートに積まれます。そのカートを保冷車の10tトラックが集荷していくと言う具合で、大変効率的で、すべてのものがリサイクルすることを考えられていました。花を新鮮に保つことを第一に考えて、しかも梱包用の箱や新聞を使わないことにより、ゴミを出さないようにしています。このように集荷された花をオークションの2時間前から産地、農家、品質を再度手にとって、1バンチづつチェックして回ります。あの広い広いアルスメールの花市場ですから、大変な距離になりますが、この下調べなしにバイヤーは、オークションの席に座りません。あれだけの本数の花を瞬時に判断して買えるのは、これだけの下調べをしているからなのです。

-日本へ輸出される花たち
オークションで買われた花たちは、水入りのバケツに入ったまま花の輸出業者の上屋に運ばれます。日本行きのこの花たちは、輸入時に必要な植物検疫をオランダで事前に受けます。日本人の検査官が、白い紙の上で花を一つずつたたき、害虫の有無を丁寧に調べていきます。一匹でも小さな虫が出てくると、同じ種類の花が全量消毒されます。このように害虫対策を完璧に行ってから日本に輸出されます。オランダでオークションに上ってから約3日で日本の私達の手元に届くわけです。このように、オランダの花の流通は、大変発達していると感心させられました。

-オランダのバケツショップの花屋さん
アルスメーヤからのオークション用の花のバケツは、アムステルダムのバケツショップ(路上で花を売っている花屋)でも大活躍です。オランダでは、フラワーショップとバケツショップとは、明確に花の売り方が違います。バケツショップには、手で束ねたハンドタイドブーケ(花束)がバケツに入ってずらりと並んでいますが、フローラフォームに生けたアレンジメントはありません。この国では、花束とアレンジメントでは税率が違うのです。ギフト用のアレンジメントは、美しくラッピングまでしてくれるフラワーショップで買いますが、これは高級な贅沢品として高い税率が掛けられます。一方、街角で売られている日常に楽しむための花束は、生活必需品として低い税率に抑えられています。このように、花の消費の先進国オランダでは、花の加工の仕方で税率の調整をしているのには、驚きました。

-花のデザインを売る花屋さん
今度は、オランダの有名デザイナーの働くフラワーショップを覗いて見ました。まず目に付くのは、ウインドーディスプレイに大変力を入れていることです。夜には、ライトアップまでして、さながらフラワーブティックです。店の中は、色ごと、種類ごと、に美しくディスプレイされ、壁の色、家具の色もバランスよく配置されています。さすがに、何か買いたくなるような雰囲気を店全体で演出していました。さすが花の国オランダです。花屋のオーナーになるための国の教育システムも大変充実していて、卒業するのに十年かかるそうです。それだけにオランダの花屋さんのプロ意識も高く、自分の職業に誇りと自信を持っているように思えました。次回は、アジアに飛んでジャングルジャングル、マレーシアの花事情です。お楽しみに。